趣味としてのオーディオ再開のきっかけ

40年以上前、CDが世の中に登場した時、正直がっかりしました。それまで聞いていたレコードの音からスクラッチノイズが消えたのは画期的でしたが、音楽を聞く楽しみも一緒に消えていました。

音はきれいになったけれど何かが物足らなく、何度も何度も同じ曲を熱中して聞く気が起きなくなりました。当時からCDプレーヤーによる音の違いについては語られていましたが、正直尋常な金額ではなく、CDの規格に原因があると思っていたこともあって、駄目なものにお金をかけてもましになるだけで根本は治らないと思い、オーディオを楽しむ時間がだんだん少なくなって行きました。

その後も、DVD Audioが出た時にさっそくDVD Audioが再生できるDVDプレーヤーを買い、ディスクを1枚買ってみましたが、よくはなっているものの聞くことにのめり込むには至りませんでした。PCも黎明期よりいじくっていましたのでPCオーディオにも当然興味を持ち、ハイビットレートが扱える内臓のサウンドカードが出ると、すぐに買い込み試してみましたが、その音に引き込まれることはありませんでした。そもそも当時はWifiなども今ほどの性能ではなくPCとオーディオ装置を物理的につなぐことも大変な時代でした。

昨年時間ができたので久しぶりにオーディオの世界をのぞいてみるとネットワークオーディオというジャンルが活況を呈しているようです。またまた新し物好きの好奇心が頭をもたげ、手持ちだったAirmac expressにiTuneからAirPlayで出力して見ました。
この音を聞いてびっくり、CDプレーヤーで再生した場合より随分良い音がします。かなり引き込まれる音です。そこでAirmacexpressの出力を光出力にしてD/Aコンバーターを通してみました。D/Aコンバーターと光ケーブルを入れても5,000円以下の出費でした。

ところが、この音にさらにびっくり、私の場合音の良しあしはピークひずみはもちろん混変調ひずみが大きな影響を与えます。すがすがしく、広々として、伸びの良い音とでもいうのでしょうか。そうでないと先の音の悪さを想像してしまって安心して音楽に没頭できず聞くのが嫌気がさしてしまいます。多少バイオリンなどで気になる部分はありますがとってもダイナミックレンジが広くなったすがすがしい音になりました。

これでCD音源に対する偏見がはがれた一方、車1台買えるような値段のCDプレーヤーがもてはやされているのも一理あるのかなと思いはじめました。そんなCDプレーヤーを買うつもりはないのもオーディオから離れていた原因の一つでしたが、CDからの読み出しと再生を別のプロセスで行うことで容易に高音質の世界が実現できる可能性に気が付いたのが趣味としてのオーディオ再開のきっかけです。

オーディオの機器の性能を表すのによく価格を引き合いに出す人たちがいます。
音の良しあしというのは感応的なものですので、なかなか絶対的な評価をするのは難しいものがあります。そのためオーディオに対する評価はたいてい相対的なものになります。相対的に良いと言われるものが絶対的な価値を持つかのようになって行くことがありますが、相対的に「どの程度」良いのかは明確ではありません。
これらを否定するつもりはありません。当人がそのように感じたらそれでよいのではないでしょうか。楽しみのために非商業的にいろいろチャレンジされることは良いことだと思います。
商業主義に振り回されずにその時々の自分の基準を明確に持って、自分の耳で取捨選択しながら自分仕様のオーディオシステムを復活させようと思います。

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